忍法合戦
先日、セルジくんへのプレゼントが到着しました。
止まり木と、「かじりーず・忍法かじかじ帖」
竜胆のケージリフォームに興味を示したセルジくんにも、
何かプレゼントしようとオンライン検索をしていた所、
目に飛び込んできたのが、忍法。
オトコなら一度は忍者にあこがれるものです。
私にも「学習研究社まんがひみつシリーズ・忍者・手品のひみつ」
が愛読書だった時期もありました。
忍者グッズに興奮したせいでしょうか、昨夜はこんな夢をみました。
少し長いので興味のある方はどうぞ。

天気の良い昼下がり、家に向かって歩いていました。
次の角を曲がると旧い商店通りに入ります。
曲がると、それほど広くない幅の通りに白衣姿の人間が溢れ、
一抱えもある瓶があちこちに置かれていました。
道路沿いの商店から水が瓶に運ばれており、どうやら水質検査をしているようです。
まるで祭りでもあるかのような人込みを苦労して歩いていると、
いきなり強い力で右腕を掴まれました。
驚き振り向くと、見知らぬ青年が私の腕を掴んでいました。
20代半ばくらいの短く黒い髪に水色の瞳。
不躾な手を振りほどき、無視して歩き出したのですが、
その青年はしつこく私に纏わりついてきます。
もうすぐ家が見えてくる、こまったな。
私は咄嗟に近くにあった土建屋の事務所に飛び込みました。
その土建屋の応接室には数人の土建屋さん達が駐在していました。
屈強な彼らの視線にドキドキしながらも、
私はソファに寝転がっている一番強面な土建屋さんに理由を説明し、
ボディガードを頼みました。
事務所の外に出ると案の定、先ほどの青年が立っていました。
しかし続いて出てきた厳つい土建屋さんを見ると狼狽し、
さっと人込みに消えて行きました。
ところがです。
安心したのも束の間、
私が土建屋さんにお礼を言っていると、また青年が現れたのです。
忍者を一人伴って。
青年と同じ水色の瞳をした忍者は、青年の姉らしく、いわゆるくのいちのようです。
そうすると、腰に巻いた赤い布はおしゃれなのでしょうか。

くのいちは、まるで当然のように、私に仲間になれと言い出しました。
青年は私を忍者のもとへと連れて行く使いだったようです。
もちろん私は断ります。
私は修行も積んでいなければ、特殊能力もない普通の人間です。
忍者なんて無理ですよ。
諦めないくのいちに困った私は土建屋さんを頼りました。
街中では滅多に見かけない忍者の登場に、土建屋さんも驚いたようですが、
ぐっと持ち直し、私には手を出すなと一喝。
流石のくのいちも、一対一では土建屋さんには敵いません。
まして、忍者は外の攻撃から街を守るのが仕事。
内の治安部隊土建屋との争いは御法度です。
互いに街を守る組織なのですが系列組織が別の為、
水面下での争いは敵対する街との争いより多いと噂されています。
そんな噂のせいでしょうか、
私は姿を消す直前のくのいちの水色の瞳に、冷たい炎を見た気がしました。
翌日早朝、どうしても胸騒ぎを抑えきれずあの土建屋の事務所へ走りました。
事務所の扉を開けると、昨日と同じ応接室が続きます。
四角いガラスのテーブルとそれを囲む椅子が4脚。
壁際には白いソファ。昨日はそこに頼りになる土建屋さんが寝転がっていました。
今朝は別人の土建屋さんが顔が見えないほど頭を反らして転がっています。
そして部屋の床にも左手奥の廊下にも、土建屋さん達が倒れていました。
皆、カッと目をむき出し、四肢を投げ出し、
何人かは喉をかきむしりながら絶命していました。
皮膚に朱色の斑点が浮いていることから、忍者特有の毒殺だとすぐに解りました。
水色の炎がついに放出されてしまったのです。
生存者はいないかと、廊下を進むと1人の土建屋さんがうつ伏せで倒れていました。
わずかですが息をしています。
顔を見ると、昨日助けてくれた強面の土建屋さんでした。

亀裂だらけのコンクリートが一面に広がる境界地を、
私は土建屋さんを肩に背負って歩いています。
惨劇の後、まもなく意識を取り戻した土建屋さんの指示に従い、
私達は街の境界線へ向かう事になったのです。
私が家に居ないとわかれば、忍者たちは必ず追いかけてくる。
助かるには外の街に助けを求めるしかない。
忍者への理不尽な怒りを原動力に私はまた一歩踏みだした。
あと少しで境界線、街と街との境目に立つラインが見えてくるはず。
肩にのせた土建屋さんの腕が次第に重くなってきている。
息も荒い。動いた事で毒がまた回り始めたのだろうか。
早く着かなければ、助からないかもしれない。
いや、着いたとしても助かるかどうか。
私達二人は外の人間だ。
ヒュン
数m先のコンクリートの塊に、車剣が刺さった。
振り返るとあのくのいちが真っ直ぐこちらへ向かってきている。
こんな時だのに、地面に足が着かない走法の優雅さに見惚れてしまう。
私達は走れない。走ってもすぐに追いつかれてしまう距離だ。
ならば戦うしかないか。
くのいちの腕が私の頭上に振り落とされた。
右腕で受け止める。
同時に足払いを掛ける。
飛び退くくのいち。
さて、戦う訓練など受けた覚えはないのだがと思いながら、
みだれ構えでくのいちと対峙する。
くのいちの弟も追いついてきた。
増えるとやっかいだなと考えた時、背後で土建屋さんが囁いた。
瞬間、私は上体を右へ傾け、土建屋さんが吹き矢銃を放つ。
緑の光線が、忍者の水色の目を焼いた。
おわり。
ブログランキング参加中ポチっと


2010.01.31 | コメント(2) | トラックバック(0) | ピピンと夢ネタ
