こわい話
岡本綺堂怪談選集を読みました。(下記book参照)
怪談というと、まず出てくるのは幽霊奇譚ですが、
理由の解らない不思議な出来事も範疇に入ります。
私にも、そんな不思議に思う経験があります。
大阪で学生をしていた時です。
親元を離れ、千林のマンションで独り暮らしをしていました。
新しい生活も落ち着いた夏の終わりの夕方、
洗濯物を取り込もうとベランダに出た時、その怪音に気付いたのです。
夜の帷に包まれる前、空気は行き場をなくして佇むような静寂で満ち、
その静けさを、微かに歪ませる、ヒョロロ、ピィ、ヒョロロという音。
空中を漂うように聴こえてくる古めかしい笛の音。
ヒョロロ、ヒョロロ、ピィ、ヒョロ、ピィ
曲目は季節外れの「うれしいひな祭り」
ライヴ。
来年の三月に向けての練習ですか?
それとも気まぐれ音楽家の今週のひと吹きですか?
もしくは地道な嫌がらせですか?
音は数日続いたあと、二度と聴こえることはありませんでした。
不思議というのは、その音がどこから流れてきているのか全く見当がつかなかった事です。
そして恐る恐る耳を傾けると、ふっと、終わるのです。
効果音とでもいうのでしょうか、
怪談映画の主人公気分をあじわいました。
シャンシャンシャンシャンシャンシャン
「セルジはどこだー」
「ここかぁっ」
セルジ=ド=リビドーに切れるピピンさん。
ではなく、箱ものには目がないお二方です。
でも結局ピピンさんが独り占め。
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「半七捕物帳」で有名な綺堂ですが、「番町皿屋敷」「鳥辺山心中」など劇作家でもあり、怪談作家でもあります。淡々とした語り口調の怪談が多く、怖いというより不思議な気持ちにさせられます。

SF、ファンタジー作家が書くホラー短編集。題材が肥満、ヒッピーからヤッピー、生活保護などアメリカらしいホラーです。猥雑でなくスマートな文章なのに、生理的な嫌悪を掻き立てられます。上手いなぁ
2009.10.26 | コメント(6) | トラックバック(0) | ピピンと非日常
