シーホースの走り方
コントロールできないことが沢山ある。
例えば過去の記憶だ。
私は先日またも見知らぬ知人に声をかけられた。
彼女曰く、中学高校の同級生で何度か同じクラスだったとか。
前回と同様に私は記憶の扉を開けて回った。
人と交わらず常に不機嫌そうな顔ばかりしていた中学時代
-該当者ゼロ。
己の欲するまま行動し他者を顧みなかった高校時代
-該当者ゼロ。
私は挙動不審もあらわに引きつった台詞で応えるしかなかった。
「あ、と、ごめんねぇ、学生時代の記憶って、なくってさぁ」
立派な社会人である彼女は笑顔で許してくれたが、
私は彼女の顔をよぎった暗い影を見逃さなかった。
ああ、また人を不愉快にさせてしまった。
脳のMRI画像を持ち歩くべきか。
「ほら、ここ、これが海馬ね。小さいでしょう?
普通はね、もっと大きいの。でもね、残念なことに私の海馬は
標準よりちょっと、ね。ちょっと、ちょっとなんだけど
・・・・・・小さいわけよこれが。
だから、ね、海馬(短期記憶装置)から大脳皮質(長期記憶装置)に
覚えた情報を送る機能がちょっとアレ?なのよね。
ちょっと、ちょっとなんだけど
・・・・・・よくシステムダウンするわけよこれが。
それがさぁ、そのダウンがね、如何したものか
ピンポイントで人の顔だったりするわけさ」
私は正しい道を歩んでいるのでしょうか。
私に比べてピピンさんは記憶能力がとてもよい。
人の顔などもよく覚えていて、久しぶりに会った人物に
セルジくんが軽くパニックを起こしているのに対し、
ピピンさんは明らかに「ああ、あいつか」という表情をする。
まあ、私が勝手にそうみているだけかもしれないが。
ピピンさんはよくクローゼットの下をの覗いている。
何をしているのだろうと常々不思議に思っていたのだが、
はたと気付いた。
クローゼットに仕舞ってある本を狙っているのだ。
また、ピピンさん達ポリポリ連合から資料や雑誌などを
守るために部屋の何箇所かを布で覆ってあるのだが、
ピピンさんは毎日のチェックを怠らない。
布の後ろにブツがあることを決して忘れないのだ。
わすれてくれ、お願いだ。
わるい顔をしています。
近頃のブームはベア苛め。
昨年の夏に始まったベア苛め。
ついには両手をもがれてしまったレッドベアにまたも受難の日々が。
最近、ちょっとやんちゃなピピンさんです。
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著者である寡婦に拾われた翼と脚に障害をもった雄のスズメ(1940年~1952年)の伝記です。ミルクで育ち、芸を覚え、歌を嗜む、およそスズメらしからぬ彼の生活スタイルに驚かされます。また作家ではない著者ですが鳥への愛情に優れた観察力と洞察力が加わり、スズメの命溢れる幼少年期から愛を語る青年期、老いとともに始まった闘病に勝利を収めた後の穏やかな日々と静かに訪れる死までを、しかと書き上げています。使い古された言葉ですが小さな宝石箱、そんな表現が似合う本です。
2011.02.11 | コメント(8) | トラックバック(0) | すてきなピピンさん
