アマイタイム
ピピンさんが活動的である。
驢馬を従えたり、
ハロウィンベアに興味津々だったり。
沢山遊んだ後は私の手の平で羽根を繕い、
足りない箇所はカキカキを要求し、
うとうとしながら専属エステを満喫する。
こんな時、セルジくんはお手伝いをするのだと飛んで来るし、
(結局ピピンさんにどつかれて退散するのだが)
竜胆はエステが終わるまで遠巻きに見ていることが常であった。
だけども今日の竜胆は気持ちが溢れてしまったようです。
「リンはね、リンはね」とピヨピヨ鳴きながら私の肩に登ってくると、
「リンはここに居るのでち」と耳をハムッと甘噛みするのです。
私が薔薇色の頬のお手入れを一旦止め、どうしたの?と竜胆へ視線を移すと、
「リンを見るでちよ」と首を伸ばし、私の唇をキュッと甘噛みします。
あららリンちゃんたら甘えんぼさんねとピピンさんに視線を戻すと、
彼女のまろやかな瞳がきゅうっと細められ、クチバシが開いた。
ギュッ。
痛い痛い手を噛まないでくださいよピピンさん。
慌てて次は額をカキカキしますね~とエステを再開したのだが、
竜胆がまた耳をハムッとし、唇をキュッと、ピピンさんがギュッと。
ハムッ、キュッ、ギュッ
ハムッ、キュッ、ギリッツ
リズミカルに繰り返される各自のアピールに手が耐えきれんと判断し、
ここは平等に両者ともども嘴を収めてもらうことにしました。
「リンちゃんもピピンさんも降りてくれないかな?」
しかしながら無敵艦隊に撤退の2文字はないらしく頑として動こうとしません。
仕方がない。
先ずは女王のご機嫌をとるかとエステに集中すると、
竜胆がむっとした顔で肩から降り、
座っていたソファの端までのしのしと歩いて行き、
くるりとターンして私に抗議の視線を向けるのでした。
これを無視したらひどく拗ねる事が分かっているので、
「はいはいちょっと待っててね」とか「もうすぐ竜胆の番だからね」など、
手は休めることなく竜胆に言葉を掛け続けました。
いつもならピピンさんにくっついて余計な嘴を挟むセルジくんが、
珍しく空気を読んで遠慮しています。
鳥たちの甘えタイムが重なるとしばし身が持ちません。
この後、竜胆をお胸に乗せて満足してもらいました。
竜胆はお胸サーフィンが大好きです。
読書の邪魔も大好きです。
そうそう、ピピンさんはエステを十分に堪能したのち、
「坊やの相手をしてもよキュってよ」と、
ほぐされた筆毛を撒き散らしながら
輝く羽根でもってケージへお戻りになられました。
2013.09.17 | コメント(4) | トラックバック(0) | 竜胆の不思議
