ほんの少しの偶然が
梅のつぼみが膨らみだした頃、
ピピンさんの春のお玉様が始まりました。
ピピンさんからのお誘いにフリーズするセルジくん。
冬のお玉様から1カ月しか経っていなかったので
注意して様子を見ていたのですが、
体調を崩している気配はありませんでした。
腰をおって絶好のバランスをとるピピンさん。
岸壁に営巣するハヤブサを彷彿させる逞しいピピンさん。
ところが、前記事の写真を撮った翌日(2月28日)、
ピピンさんの身体に異変が生じたのです。
お昼過ぎ、放鳥しようと鳥達に意識を向けた所、
「プツプツプツ」
ピピンさんから異音が聞こえてくるではありませんか。
あわててケージを覗き込むと、ピピンさんは床で立ったまま
目を瞑り、胸は波打ち、体全体であらく呼吸をしています。
「ピピン!」
声をかけても瞳を見せる事はなく、
胸はいっそうへこみと膨らみを繰り返します。
「ピピン!ピピン!」
半泣きで呼び続けていると、
ようやくピピンさんがこちらを見上げました。
そして心配するなとでも言いたげに一声鳴くと、
止まり木へ登り出したのです。
これが「鳥は病気を隠す」ということなのでしょうか。
だが空元気であれ何であれ、私を正気に戻すには十分な行動でした。
ぐずぐずしてはいられません。
私は電車に飛び乗り、掛かり付けの岡山の病院へ走りました。
医師にあっさりと保定されたピピンさんを見て
私は内臓全てが鉛になったような気分に襲われました。
いつもなら弱っていても攻撃を忘れないのに…。
そこまで弱っているんだ…。
危険な病気なんだ…。
しかし、そんな憶測はとりあえず嬉しいことに裏切られました。
触診では異常なし、糞から菌が検出されましたが、
それはお玉様の度に体調を崩す原因の菌と同じものでした。
しかし、今回のように激しい呼吸と異音がしたのは初めてで。
医師はおそらくこの菌が気嚢などに悪さをして、
呼吸が乱れているのではないかと。
愛媛に戻ると早速投薬開始です。
お薬は抗菌剤、整腸剤、栄養剤に発情抑制の4種類。
すでに恒例となったお玉様時の投薬治療、
ピピンさんは自ら進んでお薬を飲んでくれます。
2日後には呼吸の異変は鳴りを潜め、
一昨日はきれいなお玉をポロリされました。
予断は許しませんが、通常のお玉様に戻ったようです。
ところで、この病院に走った日の翌日から、
私は仕事で半日家を空ける日々が続いています。
もし異変のタイミングが1日遅ければ、
ピピンさんの病気に気付けなかった可能性もあったのです。
ほんの少しの偶然が、私の愛する世界を救ってくれました。
「だから」
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2011.03.07 | コメント(10) | トラックバック(0) | たたかうピピンさん
